NYのマンハッタンから、ブルックリン・ブリッジを渡って直ぐのエリア、ブルックリンのDumboにある、グリーソンズ・ジム (Gleason's Gym)。

2016年12月に数ブロック先に移転したがモハメッド・アリ、マイク・タイソンら幾多の世界王者が汗を流した『伝説のジム』の雰囲気は全く変わらない。

ここグリーソンズ・ジムでトレーニングを体験した、日本人たちの声(以下、敬称略)をご紹介したい。

まずは佐野総一郎 32歳(長崎ハヤシダ)の体験記。2016年5月に初めてグリーソンズで練習した彼はすぐに同じ年の年末に戻ってきた。グリーソンズ・ジムの魅力に取り憑かれた一人である。


    

  今回 NEW YORK BOXING STYLEを通し、数々の伝説のボクサーを生んできたアメリカ・ニューヨークはブルックリンにあるGleason’s Gymで3日間のボクシングトレーニングをさせて頂きました。

私は、高校1年生の頃からボクシングを始め、今は仕事の傍ら練習するサラリーマンボクサーです。ジムの興業でこの9月にプロデビュー戦を予定しているのですが、ボクシングが好きということと本場アメリカのボクシングを体験したい思いから今回のセミナーへ申込みました。

そこで紹介してもらったトレーナーはなんと!!! 元WBO・Sバンタム級とSフェザー級の2階級のタイトルを獲得したファン・グスマンさんです。

グスマンさんの現役時代のファイトスタイルは、ガードを下げ鼻先でパンチを外し、鋭いステップで踏み込みパンチのみ打ち込むという野性味溢れるものです。

そのグスマンさんのトレーニングということで、どのような内容かと不安でしたが、いざトレーニングが始まるとステップワーク・ディフェンスを重視したものでした。そしてステップワーク・ディフェンスからの攻撃(コンビネーション)、さらにディフェンスという流れで進みました。

また、それらを応用したミット打ち、グローブをはめブロッキングからのコンビネーションブローを元世界チャンピオンから直接教えて頂くとうい大変中身の濃い貴重なものでした。

また、グリーソンズジムの練習生や選手は、国籍なども関係なく私に簡単な挨拶や会釈をしてくれるようにもなり、ボクシングという共通の目標で通じ合えるようになっているとも思いました。

トレーニング中、ジムの年輩トレーナーから『No English, No Spanish, No Japanese, Talk boxing 』(ボクシングで話をしろ)と話されたことが、印象的です。言葉が話せるに越したことはないのですが、ボクシングのトレーニングをしつつ、相手の言いたいことを少しずつ理解できるのではないかとも思いました。
 
今回のトレーニングセミナーは、本当に充実した3日間でした。心からそう思います。
また、ここに帰ってきたいと思っています。それほど魅力的なグスマントレーナーとボクシングジムでした。

佐野総一郎 2016年5月6日


『編集後記』グリーソンズ・ジムに向かう前、後ろに見えるブルックリンブリッジをロードワークで軽く10分で渡りきり「最高でしたね」と満面の微笑みを見せた『長崎のジョー』こと佐野総一郎氏。

NYには、このようにボクサーにとっては地道で辛い、ロードワークでも楽しみを見出すことができるロケーションが多いことも、ポイントの一つ。

グリーソンズジムに来たら、ブルックリンブリッジを渡りきるロードワークで最高の気分に浸ってほしい。

New York Style Boxingは佐野氏に出会って、逆にそのボクシングに対する真摯な姿勢に感銘を受けた。彼はこの後、プロデビュー戦を経て、数ヶ月後にグリーソンズに戻ってきた。常連リピーターの一人でもある。

   

佐野氏とグスマンの練習映像をご紹介しよう。プロボクサーの佐野だが、普段使わない筋肉を鍛えるため、最終日には体がバリバリに張ってしまっていた。

この日徹底して叩き込まれたのはディフェンス。たとえ攻撃している最中でも、同時に、最小限の動きで最大の防御を身につけること。世界2階級制覇のグスマン。日本では決して学ぶことができない、秘伝のボクシングを佐野は堪能して最終日を終えた。

 


 
  私も現役時代にグリーソンズ・ジムに修行に行ったのですが、その経験は、想像以上に有意義なものになりました。

海外の選手達は体が大きかったり、タトゥが入ってたり、顔が恐かったりするので初めてスパーリングをした時にはかなりビビリました。

ジム独特の雰囲気にも飲まれて逃げ出したい気分になったこともあります。

でもそんなの2、3日通えばすぐに慣れてしまいます。結構見かけ倒しの選手もいますし。

あの時いろんな人種、スタイルの選手とスパーリングをしたことで度胸がついたのだと思います。

あれ以来、日本でスパーリングする時も、試合の時も怖いと感じたことはありません。“あの時に比べたら・・・”という感じです。

トレーナーの方はとても親切に指導してくれます。地元の選手とスパーリングする時も、本気でアドバイスや応援をしてくれたので心強かったです。

それに、日本とは、ちょっと違ったトレーニング方法、指導方法もあるので、それを見るだけでも良い勉強になるのではないでしょうか。

★初代、JWBC日本フライ級チャンピオン・八島有美


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